newsletter vol 2 “Bach/Brahms chaconne left hand part1

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newsletter vol 2 “Bach/Brahms chaconne left hand part1

ピアノの演奏会は、

通常2時間弱。

演奏時間だけでも

70分を越します。

何を弾くか?

どんなプログラム構成にするか?

大変悩みます。

僕の場合、全体の出来を

左右するのは最初の15分。

オープニングの曲が最も重要です。

2014年のオペラシティー

でのリサイタルでは、

人生初挑戦である、

「左手のための曲」の演奏から

始めようと決めました。

僕にとって、

結論は正解でした。

当然緊張はしたもの、

音楽の世界に集中する

ことができました。

周りからは、

よく右手がモゾモゾしないね

よくそんな曲で始められるね。

と言われましたが、

僕は逆に、集中すべき「手」が

一つに絞られることで、

どこかで安心を感じました。

最近のピアニストたちの

スタンダードレパートリー

となってきた「左手のための曲」は、

いくつか有名なものがあります。

バッハ・ブラームス

「シャコンヌ」は、

バッハの無伴奏バイオリン

パルティータ第2番より

左手のためのみに編曲。

他にもラヴェルの

「左手のための協奏曲」

スクリャービンの

「前奏曲とノクターン」

など素晴らしい曲が存在します。

両手を使って弾けば、

たくさんの音を奏でる

ことができますので、

ピアノの魅力も

より一層UPしますが、

片手では表現しきれません。

ではなぜ左手のための曲が

存在するのでしょう?

理由は2つです。

①右手の機能を失ったピアニストに

作曲を依頼されてできた作品。

有名な例は、

戦時中に右手をなくした

オーストリア出身の

「パウル・ウィトゲンシュタイン」。

最近では、

「レオン・フライシャー」など。

②左手の技術向上のために

練習曲として作曲された作品。

なぜ特別に左手を

鍛える必要があるのでしょうか?

大変ストイックなこの方、

“Leopold Godowsky.”は、

有名なショパンの練習曲を

すべてを編曲し、

原曲だけでも難しい

ショパンの曲に手を加え、

技術的にさらに難しくしています。

僕は挑戦してみようと

楽譜を買いましたが、

難しすぎて、1ページで

諦めてしまいました…。

なぜGodowskyは、

左手のみ、特別に鍛える

必要性を感じたのか?

クラシック全体的には、

明らかに右手のほうが、

難しく作られています。

圧倒的に音数も多く、

たくさん弾きます。

「ショパンのワルツ」

などが良い例です。

必然的に右手ばかりが

鍛えられる傾向になります。

つまり、

普通に練習しているだけでは

左手が右手に追いつかないと感じ、

Godowskyは左手のためのみに

編曲したのです。

僕もたまに、

お弟子さんたちに言います。

片手練習をする際は、

「左手3回、右手1回ね」と。

厳しすぎますかね。(笑)

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2016-04-29T21:45:57+09:00 2016-04-29 |Diary|