シューベルト「魔王」

「魔王」

<語り手>
Wer reitet so spat  /夜の風をきり馬で駆け行くのは誰だ?
それは父親と子供
父親は子供を腕にかかえ
しっかりと抱いて温めている

息子よ、何を恐れて顔を隠す?
お父さんには魔王が見えないの?
王冠とシッポをもった魔王が

息子よ、あれはただの霧だよ

魔王:「可愛い坊や、私と一緒においで
楽しく遊ぼう
キレイな花も咲いて
黄金の衣装もたくさんある」

お父さん、お父さん!
魔王のささやきが聞こえないの?

落ち着くんだ坊や
枯葉が風で揺れているだけだよ

魔王:「素敵な少年よ、私と一緒においで
私の娘が君の面倒を見よう
歌や踊りも披露させよう」

お父さん、お父さん!
あれが見えないの?
暗がりにいる魔王の娘たちが

息子よ、確かに見えるよ
あれは灰色の古い柳だ

魔王:「お前が大好きだ。可愛いその姿が。
いやがるのなら、力ずくで連れて行くぞ」
お父さん、お父さん!
魔王が僕をつかんでくるよ!
魔王が僕を苦しめる!

<語り手>
父親は恐ろしくなり 馬を急がせた
苦しむ息子を腕に抱いて
疲労困憊で辿り着いた時には
腕の中の息子は息絶えていた

「糸を紡ぐグレートヒェン

私の安らぎはなくなり
心は重い
もはやもう
決して憩いを見出せない

あの人がいないところは
私には墓であり
全世界が
厭わしい

私の哀れな頭は
狂い
哀れな心は
ずたずた

私の安らぎはなくなり
心は重い
もはやもう
決して憩いを見出せない

あの方を求めて
窓から眺めるだけ
ただあの方を求めて
外に出るだけ

あの方の立派な足どり
高貴なお姿
口元の笑み
眼差しの力

おことばの
魔法のような澱みなさ
握ってくださった手の力
そしてああ あの口付け

私の安らぎはなくなり
心は重い
もはやもう
決して憩いを見出せない

私の乳房は
あの方へと急き立てられる
ああ許されるならあの方を捕え
抱き締めたい

口付けをしたい
私の望むままに
あの方への口付けで
消えてしまおうとも

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