newsletter vol.14 「ショパンのテンポルバート」

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newsletter vol.14 「ショパンのテンポルバート」

暑さと戦いながらも7月8日の
「音楽とダンス」を無事終えました。

応援してくださった方、
ご来場いただいた方、
ありがとうございました。

今回初の試みとして、同じ曲を
バレエとソロ計2回ずつ演奏しました。
大変ながらも、楽しめましたし、
音楽を新たな視点から見ることが
できたことで、学びもありました。

時代と共に進化する音楽会形式。
また新たなチャレンジを
続けていきたいと思いました。
* * * * *

休む暇もなく、8月27日の
ソロリサイタルに向け
準備を始めています。

プログラムも迷った挙句、
オールショパンプログラムに決定。

9月4日ソウルでの
『ショパン協奏曲第2番』
まで、ショパン一筋です。
そんなショパンのピアノ曲を
演奏するにあたっての
大事な要素について
お話ししたいと思います。
まずはテンポルバート。
今回のバレエとの共演でも
悩みの種となりました。

【tempo rubato】
意訳すると“時を盗む”という意味。

楽譜通り、テンポ通りに演奏するだけでなく、
緩急をつけながら演奏することです。

人間の心拍数も気分によって
早くなったり、遅くなったりするのと同様、
音楽の表現に合わせ、
時間と遊びながら演奏する。
これがtempo rubatoです。

バレエと合わせる場合、
勝手に早くしたり、遅くしたりすると、
振りが間に合わない、踊りにくいと
口論のもとにもなりました。

でも機械のように弾いてもダメ。
ある程度バレエの知識をつけ、
振りを見ながら演奏するように
心がけたら、呼吸があってきました。

バレエにもルバートがあることを
理解できたのです。

ルバートのルールはありません。
唯一演奏者のセンスに任されます。

これは教わるのも難しいです。
が、正解、不正解はないので、
各演奏者が好きなように、自分の感じるがままに、
試行錯誤しながら演奏をすればいいのです。

そして、一番重要なのはspontaneity.

ショパンが言っています。
「私は2度同じようには弾けない。
それは不可能だし、非音楽的なのだ」

自然な、計画的でない演奏を重要視
していたことがよくわかりますね。

薬剤師のような演奏はやめて!と
自分の先生に言われたことも
思い出します。

興奮する、怒る、悲しむ、
笑う、怖がる…感情が、
音に反映されなくてはなりません。

「強弱」と「緩急」
うまく使い分けながら自由に演奏する。
難しいですけど、これが理想です。
もう一つ大切な要素はペダル。
これも特にルールはありませんが、
ただ即興的ではありません。

楽譜のみでの研究と、
楽器の実践で試しながら、
ある程度自分で書き込みをします。

ただ難しいのは本番の際、
ピアノによって、ホールによって
ペダルの使用量は異なります。

残響が多いホールでは
ペダルを頻繁に変えたり、
全く使用しないパッセージがあったり、
逆に響きが薄いホールでは
踏みっぱなしにしたりします。

このようにペダルの使用頻度は
環境によって左右されますので、
私がいつも生徒さんに言ってるように、
弾くことより、自分の音を聴くことに
注意を向けなさい、と。

ペダルとルバート。
ショパンの曲とは密接な2つ。

皆様も聴き比べの際など、
これらに注意を向けて聴くと、
また違って聞こえてくると思います。

今後2ヶ月間は私自身もメルマガも
ショパンづくしで行きたいと思います。
まずは「別れの曲」。

エチュードであるこの曲はそれまでの「練習曲」
の常識を覆した曲です。

ショパン以前の練習曲は、機械的に同じ音形を
反復することで指を鍛えるものがほとんどでした。

ショパンが初めて音楽としても美しく、表現を
重要視した練習曲を作りました。

全24曲。メカニックと芸術性が
見事にバランスの取れた曲集です。

この練習曲第3番はピアノ演奏で重要な役割を持つ右手の
4、5の指を鍛えるためのものです。
目指すはメロディーラインと内声部の弾きわけ。

10年以上練習している曲ですが、未だに
新たな発見があります。

単純に聞こえますが、本当に奥が深い曲。

聴いてみてください。

いつも応援ありがとうございます。

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2016-07-14T10:00:12+09:00 2016-07-14 |Diary|